看護師の仕事は景気に左右されにくく、安定した需要があるのが強みだ。一方で離職率が非常に高い仕事でもあり、特に新人時代はこの傾向が強い。

石の上にも三年と言われるように、一人前の看護師になるためには少なくとも3年はかかると言われている。それゆえ1~2年で離職する看護師が増えると、人材育成に問題が生じてくる現実があるのだ。

さらに看護師の人手不足に拍車をかける原因に国民の高齢化がある。日本は世界有数の長寿国であり、それが病床数の増加に直結し、現場の負担につながっているのだ。看護師人口が増えない状態でも高齢者は着実に増えているため、看護師一人当たりの負担が増すのは必然的だといえる。

医療現場が忙しくなるとプレッシャーも大きくなり、疲労とストレスがさらに増幅する。こうした心身の負担が離職につながるケースは多い。そして人手不足が進行していけば、さらに現場にしわ寄せがいくという悪循環が生じるのだ。

また、看護師の性別に女性が多いことも、人手不足の原因のひとつになっている。出産を機に離職する看護師は多く、子育てが終わるころには必然的に長期ブランクが発生する。医療の現場はめまぐるしく進歩しており、ブランクが長期化するほど復職は難しくなる。そのため、復帰を諦めて看護の道から離れる人は少なくない。

とはいえ、看護師の人手不足の原因として特に大きいのは、職場環境だろう。看護師にとって働きやすく、復職しやすい環境を整備している職場であれば、依然として離職率は低く、人手不足は起こりにくい傾向にある。

これらの背景を踏まえると、職場側が働きやすい環境を用意し、育児・出産後のブランク解消や育児との両立を手厚く支援することが重要だといえる。そのためには、待遇を改善したり、ICTを導入して業務を削減して負担を減らしたりなどの対策が考えられる。いち看護師として今後の看護業界をより良くしたいのなら、ぜひ人手不足の原因や対策を調べて把握することをおすすめする。